新入社員研修に盛り込むべき内容
新入社員研修で教えるべき内容は、新卒向け・中途向けで異なります。それぞれの内容を決める際のポイントをみていきましょう。
◆新卒採用者向け研修の場合
新卒採用者向けの研修では、具体的な業務知識やスキルを身につけさせる前に、社会人としての基礎的な心構えや立ち居振る舞いについて教えることが重要です。
例として、ビジネスマナー、ビジネス文書の作成方法、報連相のコツ、コンプライアンスに関することなどが挙げられます。企業によっては、事業が成り立つしくみを理解させるための財務会計研修、ストレスマネジメントやメンタルヘルス研修を行うこともあります。
◆中途採用者向け研修の場合
中途採用者向けの研修では、自社のことを知り馴染んでもらうためのカリキュラムを早い段階で設けることが重要です。たとえば、経営理念やビジョン、社内ルール、営業方針や商品の特徴、会社の歴史などです。こうした項目をテーマにして社長や役員の講話の時間を設けるのもよいでしょう。また、新入社員のモチベーションやエンゲージメントを高めるためにも、具体的な目標設定方法、評価体系、自社でのキャリアビジョンについて伝えることも効果的です。
新入社員研修の資料を作成する前に行うこと
新入社員研修の資料を作成する前に行うべきことは、下記の通りです。
1. 研修の期間を決める
いつまでに新入社員を各部署へ配属すべきなのかを確認し、研修に費やせる期間を確定します。
2. 研修のゴールを設定する
研修期間修了時までに、どのような事柄をどれくらいのレベルまで習得させるべきなのかを確認し、研修のゴールを設定します。ここで重要なのは、ゴールについて配属先の担当者および管理職としっかり相談、共有しておくことです。そうしなければ、現場が求めるスキルレベルと実際の達成度合いにギャップが生まれてしまうからです。
3. 研修のカリキュラム、内容を決める
設定したゴールから逆算して研修の中で教えるべき項目を洗い出し、カリキュラムを作成します。その際、最初から実際に行う業務の詳細について教えるのではなく、基礎的な心構えや業界の概要といった大枠から入っていくほうがスムーズに進行できます。また、重要度の高いコンテンツであるほど時間を多く割いて丁寧に説明する、復習の時間を設けるといったスケジュール設定の工夫が必要です。
新入社員研修の資料を作成するポイント
新入社員研修の資料を作成する際のポイントは、次の事柄が挙げられます。
◆多くの情報を盛り込みすぎない
情報量が多くなり過ぎると、かえって重要なことを覚えられなくなる恐れがあります。資料に記載するのは必ず習得してほしいことに絞り、プラスアルファの情報を入れ過ぎないよう心がけましょう。
◆書き込み可能な余白を設ける
研修資料の大事な役割として「後で何度も見返せる自分だけのマニュアル」という一面があります。そのために、資料のページを文字や図版で埋めつくすことなく、受講者が自由に気づきや学びを記入できる余白を多く設けましょう。教わったことを頭に入れるだけでなく、自ら考え、気付いたことを紙面にアウトプットする習慣をつけさせることで学習効果が高まります。
◆研修のゴールを明確に示す
配属先の担当者および管理職と相談して研修のゴールを設定するのが重要だと前述しましたが、そのゴールについて研修資料に明記し、受講者とも共有することが大切です。ここでのポイントは、そのゴールを受講者目線を尊重した表現で記載することです。たとえば「〇〇ができるようになる」よりは「〇〇ができるようになることで、新しい仕事を任される」「〇〇ができるようになると、お客さまとの信頼関係が築ける」のように、目標達成に向けてモチベーションが上がるような表現を工夫しましょう。
◆「達成度チェックリスト」を設ける
研修資料の各章の最後など区切りのよい箇所に、理解度や達成度を確認できるチェックリストを掲載すると効果的です。受講者自身で、あるいは同僚と話しながら互いに進捗を確認できるでしょう。加えて、理解不十分な点があれば確実に復習できるほか、達成感を得ることで次への動機付けにもつながります。
こうしたポイントを押さえて、新入社員の育成に役立つ資料作りに取り組んでみてください。
<取材先>
クレド・ライフクリエイション株式会社
代表取締役社長 深堀一雄さん
北海道札幌市出身。大学卒業後、百貨店外商部勤務を経て外資系生命保険会社にコンサルタントとして入社し、人材開発に関わる多くのプロジェクトに携わる。2018年にクレド・ライフクリエイション株式会社を設立。「ひと」の潜在能力開発とパフォーマンス(成果につながる行動)発揮を専門領域とする。
TEXT:北村朱里
EDITING:Indeed Japan + 波多野友子 + ノオト