労働基準法に違反した企業はどうなる? 違反例や罰則を解説

胸の前でバッテンを作るサラリーマンのイメージ

労働基準法は労働者を雇っている企業が必ず守らなければならない法律です。違反した場合、企業にはどのような罰則が科せられるのでしょうか。
 
万が一、罰せられた場合、企業のイメージダウンはもちろん、存続にまで影響する可能性も考えられます。企業が知っておくべき労働基準法の違反例や罰則について、ゆら総合法律事務所・代表弁護士の阿部由羅さんに伺いました。

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労働基準法とは

「労働基準法」とは、労働条件の最低ラインを定めた、労働者を保護するための法律です。
 
労働契約の明示や賃金、労働時間、休日、解雇予告などの最低労働条件が定められており、雇用形態(正社員、パートなど)にかかわらず、一人でも労働者を雇用している企業は遵守しなければなりません。

 
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労働基準法違反の罰則と主な違反行為

様々な行為が違法・処罰の対象とされていますが、特に問題になることが多い違反行為と罰則は、以下の通りです。

◆6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科される違反行為

  • 労働条件に関する不当な差別(第3条、第4条)
  • 解雇禁止期間における解雇(第19条第1項)
  • 解雇予告義務違反、解雇予告手当の不払い(第20条第1項)
  • 上限を超える時間外労働(第32条、第36条第6項)
  • 時間外労働、深夜労働、休日労働の割増賃金の不払い(第37条)
  • 労働基準監督署へ申告したことを理由とする解雇等(第104条第2項)

◆30万円以下の罰金が科される違反行為

  • 労働条件の明示義務違反(第15条第1項)
  • 休業手当の不支給(第26条)
  • 就業規則の作成、届出を怠る(第89条)

ちなみに、もっとも重い罰則は「強制労働の禁止」に違反する行為(第5条)で、「1年以上10年以下の懲役、または20万円以上300万円以下の罰金」が科せられます。

違反の疑いが発覚してから罰則までの流れ

労働者からの申告などをきっかけに労働基準法違反の疑いが生じると、労働基準監督署による企業への臨検調査が行われます。
 
そこで違反の事実が認められれば、企業は行政指導(是正勧告)、または刑事処分(逮捕・起訴等)を受けることになります。
 
しかし、いきなり刑事処分に発展することは稀です。まずは労働基準監督署による是正勧告が行われることが多いので、それに従って違法行為を正しましょう。
 
労働基準監督署の是正勧告に従わなかったり、違法行為が悪質と判断されたりして、刑事処分に発展した場合、刑事裁判を経て刑事罰が科されることになります。

労働基準法違反で逮捕される可能性

実務上、逮捕・起訴等の刑事処分が行われるのは、度重なる是正勧告に従わなかった場合や、きわめて悪質な違反行為が行われていた場合に限られます。
 
最近の労働基準法違反の例として、違法残業が問題となった広告代理業を営む大手企業に対して、罰金50万円の判決が確定しています。

 
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労働基準法違反に関する予防法と対処法

労働基準法に違反しないためには、個々の労働者の労働時間や残業代の支払い状況などを適切に管理することが大切です。勤怠管理システムによる機械的管理と、1on1ミーティングなどの際に業務量や残業状況を確認するなど、人的管理を組み合わせることが有用と考えられます。
 
労働基準監督署に違反を指摘された場合は、行政指導に対して誠実に従わなければなりません。適切に是正がなされない場合、刑事処分に発展する可能性もあります。

常に最新情報をチェックする

労働基準法は労働者を保護するための法律です。そのため、最低ラインを下回る労働条件は無効となり、行政指導により強制的に最低ラインの水準まで労働条件が引き上げられます。
 
故意ではなかったとしても、知らなかったという理由は通用しません。昨今、働き方改革に伴い法改正が頻繁に行われているので、常に最新情報を確認することは必須です。

 

※記事内で取り上げた法令は2022年12月時点のものです。
 
<取材先>
ゆら総合法律事務所 代表弁護士 阿部由羅さん
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種Webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。
 
TEXT:塚本佳子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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