退職証明書とは? 書類のテンプレートを紹介

花束と色紙を持っている女性

退職証明書とは、企業が対象となる従業員が確かに退職したことを証明する書類です。どのような場合に発行の義務が生じるのでしょうか。記載すべき項目、在職証明書や離職票との違いなどについて、寺島戦略社会保険労務士事務所代表で社会保険労務士の寺島有紀さんに伺いました。記事末では退職証明書のテンプレートもご紹介します。

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退職証明書とは

退職証明書は、労働者の退職の事実を証明する書類です。労働者から希望がない場合は、発行の必要はありません。しかし、退職する労働者が「退職証明書」を請求した場合には、正社員・アルバイトを問わず企業は速やかに交付する義務があります(労働基準法第22条)。企業側に課せられている退職証明書の発行義務は退職してから2年間です。以後は、発行義務はありません。
 
退職証明書に記載する内容は、次の5項目です。

 

  • 使用期間
  • 業務の種類
  • その事業における地位
  • 賃金
  • 退職の事由(解雇の場合にはその理由を含む)

上記の5項目のうちどの項目を記載するかは、発行を求める労働者側が選ぶことができます。

 
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退職証明書が必要な2つのケース

退職証明書の発行が求められる場面は、おもに次の2つのケースになります。
 

◆転職先企業から提出を求められる

労働者が新たに転職した先の企業から、前職の退職理由の確認や職歴の確認などのために提出を求められる場合
 

◆国民健康保険や国民年金の切替申請

離職後に国民健康保険や国民年金への切替を申請する際の証明書として必要が生じる場合

在職証明書や離職票との違いは?

退職証明書と混同されやすい書類として、「在職証明書」と「離職票」があります。それぞれの特徴と退職証明書との違いについて解説します。
 

◆在職証明書とは

在職証明書は、企業が労働者の退職、または在職を証明する書類です。在職証明書と退職証明書の大きな違いは、発行する義務の有無です。退職証明書は企業が発行する義務がありますが、在職証明書は発行義務がありません。
 
在職証明書の発行が必要とされる場面は次の通りです。

 

  • 入社が内定した転職先の企業に求められたとき
  • 保育園の入園・更新の申請
  • 外国人労働者の在留資格の更新
  • 各種ローンの審査

記載する内容は、基本的には提出先が求めている項目になります。
 

◆離職票とは

離職票は、雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付を受給するために必要な書類です。退職証明書と離職票の違いは、公的な書類ではない退職証明書に対し、離職票はハローワークから発行される公的な書類である点です。
 
離職票には、退職理由や、退職前6カ月の賃金、出社日などが記載されています。企業は、雇用保険の被保険者であった労働者が離職したとき、または労働者が離職票の交付を希望しない場合を除き、離職証明書を発行する義務があります。

 
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退職証明書に記載すべき項目

退職証明書は公的な書類ではないため、企業によって書式や記載内容は異なります。作成する場合は、厚生労働省が公開しているモデル書式を使用できます。
 
モデル書式と同一でなくても、退職証明書に記載する「使用期間」「業務の種類」「その事業における地位」「賃金」「退職の事由」の5項目があれば問題ありません。また5項目のうちどれを記載するかは、発行を求める労働者側が選べることは前述の通りです。
 
ただし、退職理由が「解雇」であり、労働者が解雇の理由の記載を求めた場合は、企業側は次のような具体的な理由をつけて記載してください。

 

  • 天災その他やむを得ない理由
  • 事業縮小等会社の都合
  • 労働者側の理由(重大な職務命令違反、業務に関する不正行為、長期の無断欠勤などの勤務不良)など

 
退職証明書 1. 使用期間○年○月○日から○年○月○日まで 2. 業務の種類 3. その事業における地位 4. 賃金 5. 退職の事由(解雇の場合はその理由を含む。) ○○殿 以下の事由により、あなたは当社を○年○月○日に退職したことを証明します。 ○年○月○日 事業主氏名又は名称 使用者職氏名 印 ①あなたの自己都合による退職(②を除く。) ②当社の勧奨による退職 ③定年による退職 ④契約期間の満了による退職 ⑤移籍出向による退職 ⑥その他(具体的には○○による退職) ⑦ 解雇(別紙の理由による。) ※該当する番号に○を付けること。 ※解雇された労働者が解雇の理由を請求しない場合には、⑦の「(別紙の理由による。)」を二重線で消し、別紙は交付しないこと。

 
退職証明<別紙>

ア、天災その他やむを得ない理由(具体的には、○○によって当社の事業の継続が不可能になったこと。)による解雇

イ、事業縮小等当社の都合(具体的には、当社が、○○となったこと。)による解雇

ウ、職務命令に対する重大な違反行為(具体的には、あなたが○○したこと。)による解雇

エ、業務について不正な行為(具体的には、あなたが○○したこと。)による解雇
オ、相当長期間にわたる無断欠勤をしたこと等勤務不良であること(具体的には、あなたが○○したこと。)による解雇

カ、その他(具体的には、○○)による解雇


※発行者(会社)は該当するものに○印をつけて、具体的な理由を(  )の中に記載し
て下さい。
※解雇された労働者が解雇の理由を請求しない場合には、この用紙は不要です。

 

◆作成時の注意点

退職証明書は労働基準法上「遅滞なく発行すること」が求められています。企業側はなるべく速やかに発行してください。
 
また、 退職証明書はあくまで労働者が記載を求めた内容のみを証明するための書類です。記載しなくて良いというだけではなく、労働基準法第22条において、「労働者の請求しない事項を記入してはならない」と禁止されていますので、その点も注意が必要です。

 

※記事内で取り上げた法令は2022年11月時点のものです。
          
<取材先>
寺島戦略社会保険労務士事務所 代表 社会保険労務士 
寺島有紀さん
 
一橋大学商学部 卒業。新卒で大手IT企業に入社後、社内規程策定、国内・海外子会社等へのローカライズ・適用などの内部統制業務や社内コンプライアンス教育等に従事。在職中に社会保険労務士国家試験に合格後、社会保険労務士事務所に勤務し、ベンチャー・中小企業から一部上場企業まで国内労働法改正対応や海外進出企業の労務アドバイザリー等に従事。現在は、社会保険労務士として中小・ベンチャー企業のIPO労務コンプライアンス対応から海外進出労務体制構築等、国内・海外両面から幅広く人事労務コンサルティングを行っている。
 
著書に「これだけは知っておきたい! スタートアップ・ベンチャー企業の労務管理―初めての従業員雇用からIPO準備期の労務コンプライアンスまで この一冊でやさしく理解できる!(アニモ出版)」「IPOをめざす起業のしかた経営のポイント いちばん最初に読む本」(アニモ出版)等
 
TEXT:阿部花恵
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト


 
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