新卒採用とは
新卒採用とは、これまで就業経験がなく、高校・専門学校・短大・大学・大学院卒業見込みの学生を採用することを指します。新卒とは大学卒業見込みの学生を示すのが一般的ですが、近年では、大学既卒者3年目までの就業経験がない者を「新卒」に含める考え方も広がっています。
一括採用の場合のスケジュールの立て方
新卒採用の方法には、主に一括採用と通年採用があります。
◆一括採用とは
一般的な新卒採用方法で、その年の3月に大学を卒業し、翌月の4月1日から入社する学生を対象に、期間を限定して採用選考を行う方法です。
◆メリット
- 決まった期間に応募や選考を行うため、効率的に採用活動が行なえる
- 入社後の新入社員の教育研修のスケジュールも立てやすく、一斉に実施が可能
◆デメリット
- 一括採用を行う企業が多いため、他社と競合して人材を確保する必要がある
- 3月卒業・4月入社ができない、留学生などの人材を採用するのが難しい
◆一括採用のスケジュール
政府の方針では、学生が学業に集中できる期間を長く確保するために、企業に対して下記のようなスケジュールで一括採用を行うことを要請しています。採用広報開始となる3月1日よりも前に、インターンシップを実施し、学生と早期接点を持とうとする企業も増えています。
例:2023年4月入社予定の場合
2022年3月1日…採用に関する広報を解禁(説明会・募集・応募受付などを開始)
↓
2022年6月1日…採用選考を解禁(書類選考・面接などを開始)
↓
2022年10月1日…正式内定を解禁
通年採用の場合のスケジュールの立て方
◆通年採用とは
通年採用には、主に下記の2つの方法が挙げられます。
・一括採用と同じく入社日は4月1日だが、応募受付・選考は随時行うケース
・入社時期を限定せず、通年で応募受付・選考・内定・入社を行うケース。留学生など9月卒業・10月入社を対象とした者の採用も多く見られる
◆メリット
- 語学力のある留学生など、4月入社の新卒採用では出会えなかった、自社に合った人材を時期にかかわらず獲得できる可能性がある
- 一括採用よりも競争相手が少ないため、PRがうまくいけば自社に合った人材を獲得できる可能性がある
◆デメリット
- 一般的な就活スケジュールとは異なる時期に採用活動を行うことになるため、実施時期によっては応募が少なくなる可能性がある
- 応募受付・選考・内定・入社時期が決まっていないので、繁忙期など時期によっては採用選考に時間をとられて人事担当者の通常業務に支障が出ることがある
- 上記と同じ理由から、入社後の現場の教育体制が整っておらず、新入社員がなじめず不安を覚えたり、すぐに退職してしまったりすることがある
◆通年採用のスケジュール
通年採用のため、特に決まったスケジュールはなく、企業が自社の狙いに合わせてスケジュールを組むことができます。
どちらの採用方法が向いているかの検討ポイントや注意点
採用数やどのような人材を求めているかは企業によって異なります。一概にどちらが向いているのかを判断するのは難しいため、自社の状況を踏まえて採用活動を行うのが重要です。
◆人事の体制や現場の状況を考える
人事や現場の受け入れ体制が整っている状態がいつなのかを把握し、現場の負担にならない時期に合った採用を実施しましょう。
◆実施時期にとらわれすぎない
多くの学生は内定が出ても、第一志望の企業の選考が終わるまで入社を保留にする傾向があるため、企業が採用活動を早く始めて内定を出したからといって、早く採用できるとは限りません。「自社にはどんな人材が必要なのか」「自社に魅力を感じてもらうためにはどうPRすればよいか」を見直し、新卒者に興味を持ってもらいやすい採用活動を心がけましょう。
◆中途採用募集と併用する
通年採用を行う場合、一括採用のようにまとめて選考や入社後の研修を行うのが難しい状況になりがちです。たとえば、毎月中途採用を実施している企業なら、その中途採用のフローにあわせて、新卒者の通年採用や受け入れ研修を行うなど、できるだけ人事担当者や現場に負担がかからないよう工夫をしましょう。
一括採用と通年採用のメリット、デメリットを理解して、自社に合った方法で採用活動を行いましょう。
※記事内で取り上げた法令は2022年11月時点のものです。
<取材先>
就職みらい研究所 所長 栗田貴祥さん
1992年(株)リクルート入社以来、30年にわたりHR事業領域に従事。新卒採用・中途採用・教育研修等の提案営業を経験の後、新卒メディア・中途メディア事業の営業部門、人事・組織開発、広報などのスタッフ部門の部門長を経て、2021年4月より、リクナビ編集長に就任。2022年4月より現職。
TEXT:宮永加奈子
EDITING:Indeed Japan + 南澤悠佳 + ノオト