現役採用人事の本棚 私の3冊(第28回:モスフードサービス)

現役採用人事の本棚 私の3冊(第28回:モスフードサービス)

連載「現役採用人事の本棚 私の3冊」では、現役の採用人事担当者が業務に役立つ本を紹介しています。今回登場するのは、日本全国とアジア諸国でハンバーガーチェーン「モスバーガー」などを展開する株式会社モスフードサービスの新卒採用担当小澤美樹さんです。
店舗と本部両方での採用業務を通じて得た気づきや心がまえについても、お聞きしました。

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第28回 株式会社モスフードサービス 小澤美樹さん

【プロフィール】
小澤 美樹さん
採用人事業務歴:約2年
担当業務:新卒採用全般(説明会、面接、内定者フォロー、インターンシップ企画・実施等)、福利厚生
 
新卒入社後、モスバーガー直営店で6年半の店舗勤務と店長業務を担当する。その後人材開発部に異動。2度の産休・育休から復職し、現在は新卒採用全般を担当する。
やりがいを感じるのは研修・面接・内定者フォローなどで関わった人たちから感謝や前向きな言葉が寄せられた時。そしてその人たちが活き活きと働く姿を見たり活躍を聞いたりした時には、さらに大きな喜びを感じる。「広く応援されるブランドを創る会社」での仕事に誇りと緊張感を持ち、業務に取り組む。

採用人事の担当者におすすめしたい3冊は?

◆『仕事の教科書 きびしい世界を生き抜く自分のつくりかた』

(北野唯我著/日本図書センター)
 
広告業界・コンサルティングファームを経てスタートアップの取締役を務める著者が、仕事術を伝授する本です。「タイミングの法則」「経営と実行分離の原則」「目的ファーストの法則」など、色々な原則が出てきます。イラストとデザインを使って読みやすいよう工夫されているので、社会人になりたての若手におすすめです。
 
また「仕事が遅いと思われたくない」「文章を書くのが苦手」「なかなか自分の提案が通らない」といった、仕事上の悩みを持つ30〜40代の方にもぜひ読んでほしいです。
 
私は2度目の育休が終わる頃に刊行されたこの本を読み、驚きました! なぜなら、6年半の店舗勤務キャリア後に配属された社内の教育部門で、先輩が言っていたのとまるっきり同じことが書かれていたからです。
 
当時は念願の研修担当になったものの、いざやってみると仕事の仕方が全くわからない!と毎日四苦八苦していました。そんな私に根気強く仕事の進め方を教えてくださった先輩のおかげで、今の私があるといっても過言ではありません。教育部門にいた当時に、この本があったら良かったなと思いました(笑)。
 
この本に書かれている原則を意識するようになり、以前より悩む時間が減って考える時間が増えました。そして動く時間がもっと増えたことで全体的に仕事のスピードが上がり、コミュニケーションの齟齬も少なくなったと実感しています。人事という仕事柄、自社の社員とのやり取りも多いため、その点においても助けられました。

 

◆『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス 』

(曽和利光、伊達洋駆著/ソシム)
 
人事の実務に携わってきた著者と学術的な研究を行ってきたもう一方の著者が議論することで、実務と学術間のギャップを「バイアス=誤った思い込み」としてあぶり出し、経験と勘に頼らないマネジメントを提言しています。
 
目次に連なる様々なバイアスは、まさに「HRあるある」です。バイアスを覆す裏付けとなる研究結果と事例が載っており、制度設計をする際にも参考となるでしょう。HRに携わる全ての方におすすめの一冊です。
 
特に印象に残っているのは、『【バイアス1】組織に入れば、順応して、人の価値観が変わる』です。
本書では、職場で良好な人間関係を構築することが起点となり、段階的に組織人としての態度が形成されていくとのプロセスが説明され、個人の価値観・意識をすぐに変容させることは難しいと説いています。
 
当社の内定者フォローにおいては、ファーストステップとして内定者同士および内定者と採用担当間のコミュニケーションが重要と考え、コミュニケーションを目的にしたオンライン交流会を入社前に複数回実施しています。
 
この本を読んだことで、私たちの取り組みに自信が持てました。
 
また「良い組織」は「強い個」が集まるだけでは十分ではなく、メンバー同士の関係性の質を高めることも重要だと考えます。いずれその領域にフォーカスした提案・改善をしたいので、必要な知識が詰まったこの本を、折に触れて読み返そうと思っています。

 

◆『新時代を生き抜く越境思考 ~組織、肩書、場所、時間から自由になって成長する』

(沢渡あまね著/技術評論社)
 
ワークスタイルと組織開発の専門家として企業の働き方改革や組織変革、マネジメント変革の支援を行う著者が「越境学習」についてわかりやすく解説しています。本書での越境学習の定義は「個人にとってのホーム(普段の環境)とアウェイ(普段と異なる環境)を行き来することによる学び」です。HRに携わる者として価値観をアップデートさせたいと感じ、最近手にとりました。
 
本書では越境学習から生まれる「価値観の揺らぎ」によって、気づき・発見・学びを得ることが組織に変化を与えると説き、副業(複業)・週休3日制・DE&I・ワーケーション・DXなど、昨今どの企業も注目しているトピックに言及しながら、越境学習を用いたアイデアを体系的に書いています。
 
仕事も子育てもしている私にとって特に印象的だったのは「第3章 女性活躍/ダイバーシティ推進」での、「『女性支援』ではなく『女性起点』そして『全員参加』へ」というフレーズで、どの章よりも一番多くうなずきながら読みました。
 
現場の社員にとって最も重要な「で、どうする?」という具体的な方法についても、ケーススタディーを始めとしたヒントがたくさん載っています。
また本書を読んで、元々嫌いではなかったのに育児を理由に遠ざかっていたアウェイの中でいろいろな方と話をすることや、主体となってコミュニティをつくる活動をしたいという気持ちが再燃しました。

 

自社での取り組み紹介

◆採用担当として心がけていること

店舗勤務キャリア期間に、モスバーガー直営店のアルバイトスタッフの採用・育成を実務として行っていました。年齢層が幅広いモスのアルバイト従業員は、当然バックグラウンドも全く異なります。振り返るとダイバーシティマネジメントを20代のうちに経験できたことは貴重でした。たくさんの個性があるという気づきは、仕事だけでなく子育てにも活かされている気がします。
 
現在、新卒採用の担当者として特に大事にしているのは「求職者=お客さま」というマインドです。これは採用チームメンバーの共通認識でもあります。求職者と企業はお互いに選び・選ばれる関係です。募集・選考フェーズの接点において、フラットかつ誠実で、相手に安心感を持ってもらえるような態度・行動を心がけています。
 
また内定者フォローなどのイベントも参加者視点に立って企画設計しています。継続的に行っているWebアンケートの結果や寄せられたコメントから参加者が期待するポイントを把握し、効果測定およびPDCAに役立てています。

 

◆採用人事担当者へのメッセージ

企業の採用担当者のみなさまは他の人事業務も兼務され、忙しくしていらっしゃることでしょう。私も同様に毎日がトライアンドエラー、業務に追われてトライできていない!とハッとすることもあります。
 
そんな時は読書をして新たな気づきを得ることでエネルギーを補充しています。紹介した3冊がみなさまのヒントになれば幸いです。
 
 

TEXT:合戸 奈央
EDITING:Indeed Japan +ノオト

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